酒屋という仕事
「酒屋」とは、酒の醸造や売買をする業者です。村落で村人が共同で持っていた酒を造る小屋が語源になったと言われています。
酒屋を経営するには、免許を取得しなければなりません。
製造に必要なのは「酒類製造免許」です。酒税法により1年あたりの最低製造見込数量(法定製造数量)が決められて、3年間これを下回ると、免許取り消しになります。
販売に必要な免許には2種類あります。
1つは「卸免許」といい、酒類販売業者や酒類製造者に販売する免許です。扱う酒の種類によりさらに分かれています。
もう1つは「小売業免許」で小売店で販売するための免許です。こちらは業務形態により種類が分かれています。
また、酒屋の代表的な屋号である「三河屋」は、17世紀末に江戸十組問屋という同業者で酒、味噌、醤油を扱う者に醸造業が盛んな三河出身者が多かったため、三河屋と名付けました。その後、のれん分けのほか、繁盛にあやかって三河屋を名乗る者も多かったためです。
酒屋の歴史
5世紀ごろから、政府、民間、社寺で米を使った酒の自家醸造が始まりました。商品としての酒は13世紀ごろからになります。
鎌倉時代、民間で酒を造り、売る「酒屋」が登場しました。やがて、土倉と呼ばれる金融業を兼業したり、流通、通信業などの役目をする「酒屋」と、醸造する後の「造り酒屋」に分かれていきました。
室町時代には朝廷が酒造役(壷銭)を徴収し重要な財源のひとつでした。そのため、酒屋は政治的にも発言力を持つようになります。
江戸時代になり、他の所で醸造した酒を販売する商店としての酒屋が増えていきました。
このころには表面上は政治的な影響力は減ったものの、「酒屋万流」と言われるように、日本中に強力なネットワークを持つ酒屋は、近代につながる激動の時代に政治を動かす者に力を貸していました。
江戸時代以前の大手酒屋は、商圏を国際的に広げ、やがて財閥につながっていきます。
明治時代になり、酒屋は酒以外の商品も扱うよろずや的な要素を持ち、人々にとって身近な存在になっていきました。
昭和時代以降、フランチャイズ化やコンビニやスーパーへ業務形態を変える酒屋も多く、また、最近では酒類販売の規制緩和により、昔ながらの酒屋には厳しい時代になりました。
現代の酒屋事情
今までは安定した酒税の賦課徴収、既存小売業者の保護をはかるため、酒屋の新規参入者に対し酒税法に基づき厳しい制限がかけられていました。
しかし、1998年に決定した規制緩和により、2001年路離基準(既存の販売場から一定の距離を保つ)、2003年人口基準(一定人口ごとに販売免許を付与)が廃止されました。これにより事実上、酒類の販売が自由化されました。(2006年までは既存業者保護のための特別措置がとられていた) これにより、昔ながらの酒屋には逆風が吹いてると言えるでしょう。
さらに、WHO(世界保健機関)で2010年に「アルコールの有害な使用を減らすための世界戦略」が採択されたため、販売や広告などに規制がかかる可能性があり、この影響も懸念されます。
現在では、客を呼び込むため、インターネット販売や量り売りなど販売力の強化、ワインアドバイザーや焼酎アドバイザーなど専門知識でサービスするなど、個性を売り物にしている酒屋も少なくありません。

